2021.11.02 公開
月替りの短歌・霜月・店主編
皆様、おはよう御座います☆
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本日、御紹介致しますのは「月替りの短歌・霜月・店主編」です。
店主の霜月は
【ころころと屋根はしる音 など書きはじむるに 去来思ひし嵯峨野に深し】
と詠みました。
江戸時代の俳人で松尾芭蕉の高弟であった「向井去来」という数奇者がいらっしゃいました。
【芭蕉十哲】に名を連ねるほどの去来は京は嵯峨野の里山をいたく気に入り、この地に住みつきます。
居の周辺には、歴代天皇墓陵や皇族墓陵が並び、いたく静かな場所でした。
ある日、金子に困った去来は、居の眼前に沢山立ち並ぶ柿の木に実った柿を商人に売る約束をします。
明日には収穫して渡すという晩のこと、去来が寝ていますと、「ポト、コロコロ」と屋根に何かが落ちて転がる音がしきりに致します。
翌朝、去来が表に出てみると沢山の柿が落ちていました。
去来は「ああ、柿の実を売るなどと愚かなことを言ってしまった。この庵から眺める秋の景色に柿が無いことの何とつまらぬことか」と反省したのでした。
そのことを去来は友人に文に綴って出しました。
その文の書き出しが
「ころころと屋根はしる音」
そして文末にこの庵を
「落柿舎(らくししゃ)」と締めました。
柿の落ちる様を見て落柿舎を思い、去来もまたこのように見た風景なのだろうか。
嵯峨野の秋も深まっているのだろう。
と込めて詠みました。
(^-^)